ええ声の利用者さんのこと

投稿日: 2016年8月19日  カテゴリー: みんなのお話

はじめて訪問した時、埃とタバコの臭いが充満した、物の少ないお部屋でした。
マットがへこんだ折りたたみベットにタバコのヤニで茶色く変色した布団を敷いてその上で一日の大半を過ごし、ベットの前に置かれた段ボール箱をテーブルにして食事をされていました。
「この箱をテーブルにしていて、低くないですか?食べにくくない?」
と尋ねると
「これでええねん。死んだとき、片付ける人が迷惑するから、物は増やさん方がええやろ。」
とええ声で明るくおっしゃっていました。

何度も救急車で運ばれ、退院するたび薄味の料理をちょっと受け入れては、
「こんな味ないの食われへん!」とヘルパーに愚痴って、なんだかんだ愚痴りつつもヘルパーの訪問は断られることなく、あっという間に2年の月日が過ぎ、
気が付けばフライパンや、スライサー、給湯器、テーブルセット、…
いろんなものが増えていました。食事も台所のテーブルで召し上がられるようになっていました。

私「うわっ!給湯器ついてる!ついに水で顔洗うのがつらくなったん?!」
利用者さん「違うがな、自分ら(ヘルパー)が手袋して洗いものしてるから付けたってんや!」

私「うわっ!何?このリゾート地みたいなテーブルとイス?!」
利用者さん「ケアマネージャーが来たら、いっつも床で何か書いてるし、自分らもいつも床で何か書いてる(その日の訪問の記録)やろ、書きにくいがな!ここで書いたらええねん。」

最後にお部屋を片付けたご家族が
「物が増えててびっくりしました。偏屈な兄だったからヘルパーさんに迷惑かけてたんじゃないですか?」
と言われました。亡くなられて初めてご家族にお会いしましたが
「偏屈なところもありましたけど(笑)、ほんとに優しい方で、私たちへルパーを気遣って増えた物ばっかりです。」
と伝えることが出来てよかったと思いました。

                                                      

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